「おむすびころりん」をマーケティング要素を交えて解釈
昔話「おむすびころりん」は、一見すると単純な童話のようですが、マーケティング視点で解釈すると、非常に示唆に富んだ物語です。
物語の概要(簡略版)
正直なおじいさんが落としたおむすびが転がって穴に落ちる。中にはネズミたちの世界があり、彼は親切にされ、お礼に宝物をもらう。欲張りなおじいさんが真似して穴に入るが、欲を出したため痛い目に遭う。
マーケティング視点の解釈
①「おむすびが転がる」=偶然のきっかけ・小さな行動がチャンスを生む
- 落としたおむすび=ちょっとした価値提供や行動(サンプル配布、SNS投稿など)
- 転がった先=新市場・ニッチなセグメント
- 偶然のようでいて、行動しなければ出会えなかった市場や顧客とつながる。
示唆:些細なきっかけが、思わぬマーケットに通じることがある。
②「穴の中のねずみたち」=未発見のターゲット層・コミュニティ
- 普段見えないが、潜在的に価値を必要としているニーズ層。
- 価値を正直に提供すると、感謝され信頼される(=リピートや口コミにつながる)。
示唆:マスではないが熱量の高い小市場を見つけることで、濃いファンが生まれる。
③「正直なおじいさん」=誠実なブランド・提供者
- 相手に貢献する姿勢が、信頼や評価を生む。
- ギブ(Give)の姿勢で関係性を築くと、自然にリターン(Get)が生まれる。
示唆:誠実な価値提供は、中長期的にブランド資産となる。
④「欲張りなおじいさん」=短期利益狙いの模倣・不誠実な戦略
- 他社成功事例の模倣でも、本質的価値提供がないと評価されない。
- 欲を出しすぎると、ブランド毀損やクレームに直結。
示唆:成功の裏側にある「信頼」や「関係性」を無視すると、マーケティングは失敗する。
まとめ:この昔話が教えてくれるマーケティング教訓
昔話の要素 | マーケティングの教訓 |
---|---|
おむすびが転がる | 小さな価値提供が市場を開く |
穴の中の世界 | 潜在市場の発見 |
ネズミたちとの交流 | 誠実な関係構築が信頼を生む |
欲張りな模倣 | 短期的な利益狙いは失敗する |
このように「おむすびころりん」は、ただおむすびを落として穴に入ってホールインワン!という単純なお話ではなかったんですね。マーケティングの視点で見るとたくさんの学びがあります。
これを踏まえた上で物語にしてみましょう。
『おむすびころりん 〜ニッチ市場への旅〜』
【第1章】いつものランチと、ひとつの行動

昔々、とある町に「まごころ商店」という小さな定食屋を営む正直なおじいさんがいました。
素材にこだわり、一つひとつ丁寧に作った手作りおむすびが評判でしたが、最近は大手チェーン店に押され、常連客しか来なくなっていました。
ある日、おじいさんはいつものようにお昼休憩に近くの公園でおむすびを食べていました。すると、手を滑らせたおむすびがコロコロと転がり、木の根元の穴にポトンと落ちてしまったのです。
【第2章】思わぬ出会いと、ニッチ市場の発見

不思議に思って覗き込んでみると、なんとその穴の中には、ねずみたちが暮らす小さな世界が広がっていました。
ねずみたちは都会の片隅で暮らしていて、コンビニ飯ばかりの毎日に飽き飽きしていたのです。
転がり落ちたおむすびをひとくち食べたねずみたちは、感動のあまり涙を流しました。
「これは本物の味だ!」「こんなにあったかいごはん、初めて食べたよ!」
おじいさんはその日、おむすびの作り方を教えたり、素材の選び方を語ったりして過ごしました。
ねずみたちは感謝の気持ちとして、地底の希少な米や塩、そして「口コミネットワーク」なる仕組みを授けてくれました。
【第3章】誠実な商いが、新しい価値を生む

おじいさんは帰ってからも、自分の信念通りにまごころを込めたおむすびを作り続けました。
数日後、どこから聞きつけたのか、ねずみたちの紹介で「こだわりを大切にするお客」が徐々に訪れるようになりました。
彼らは口を揃えて言いました。
「あなたのおむすびには、“気持ち”が込められている。」
市場のメインストリームではなく、ほんの小さなニッチな世界であっても、そこに価値を見出す人がいる。
そう実感したおじいさんの商店は、徐々に口コミだけで繁盛し始めたのです。
【第4章】模倣と、失われた信頼

その様子を見ていた近所の商人──ズル賢いおじいさんは「チャンスだ!」と真似を始めました。
見た目だけ似せたおむすびを作り、わざと落としてねずみたちの穴に潜り込んだのです。
ところが、彼はねずみたちに嘘のレシピを教え、利益の話ばかりしました。
すると、ねずみたちは警戒し、商人を追い返しました。しかもその模様は口コミネットワークで拡散され、彼の商いは信用を失ってしまいました。
【第5章】本質的価値がつなぐ未来

「いいものは、伝わる。だけど、それは“心”がこもっているからだ。」
おじいさんのまごころ商店は、その後も目立たない場所で地道に営業を続けながらも、口コミと信頼によって広がりを見せていきました。
大きな広告も派手なキャンペーンもなくとも、“誰かにとって特別な存在”となったのです。
教訓:この物語から学べるマーケティングの本質
- 偶然のきっかけ(おむすび)を生かす行動力
- 小さくても価値のあるニッチ市場との出会い
- 誠実な提供こそがブランドを育てる
- 表面だけの模倣は通用しない
- 本質的な価値は、口コミと信頼によって広がる
いかがでしたでしょうか。
このように「おむすびころりん」に限らず、正直じいさんと性悪じいさん系の昔話しはよくありますが、結局は人なんですね。
マーケティングにとってとても大切なことで、利益のみに走ってしまう経営者も多くいるとは思いますが、まずは本質を見つめることが大事だと思います。
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